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法人の不動産売却における税金について解説!節税方法も紹介

いつも当レポートをご愛読いただきありがとうございます。今回は「法人の不動産売却における税金について解説!節税方法も紹介」について触れてみたいと思います。

不動産の売却時には様々な税金が発生しますが、法人の場合は個人とは異なる取り扱いがされるため、正しい知識を身につけておく必要があります。本記事では、法人特有の課税制度や具体的な計算方法、効果的な節税方法について解説します。

 

不動産売却における個人・法人の違い

法人と個人では不動産売却時の税金の取り扱いが大きく異なります。個人の場合は譲渡所得として所得税・住民税が課税される一方、法人の場合は通常の事業所得として法人税等が課税されます。

また、個人の場合は保有期間によって税率が変わる特例がありますが、法人の場合はそのような区分はなく、一律の税率が適用されます。さらに、法人の場合は消費税の対象となるケースが多いのも大きな特徴です。

 

法人の不動産売却でかかる税金の種類

法人の不動産売却でかかる税金の種類
法人の不動産売却では、複数の税金が課されます。国税と地方税、そして取引に関連する税金など、それぞれの特徴と計算方法について詳しく見ていきましょう。

 

法人税

法人税は事業所得に対して課される税金で、税率は資本金の額や年間の所得によって異なります。普通法人の場合、年間の所得が800万円以下の部分は15%、800万円超の部分は23.2%となります。

 

法人住民税

法人住民税は法人税額に税率を乗じて計算されます。税率は都道府県によって異なり、また均等割に関しても資本金や従業員数によって変動します。

 

法人事業税

法人事業税も地方税の一つで、事業規模に応じて異なる税率が適用されます。たとえば東京では資本金または出資金額が1億円を超えると「超過税率」が、超えない場合は「標準税率」の適用対象となります。
令和4年4月1日以降の事業年度における軽減税率適用後の税率は、以下のとおりです。
標準税率 超過税率
年400万円以下の所得 3.5% 3.75%
年400万円を超え年800万円以下の所得 5.3% 5.665%
年800万円を超える所得 7.0% 7.48%
※出典:東京都主税局「法人事業税・法人都民税 」

一方で、すべての自治体が超過税率と標準税率を採用しているわけではないため、住まいの自治体のホームページ等であらかじめ確認しておくとよいでしょう。

 

地方法人税

地方法人税は国税として徴収され、地方交付税の原資となります。法人税額の10.3% が課税されます。この税金は地域間の財政調整を目的としています。

 

消費税

消費税は建物の売却に伴って課される場合があります。土地は非課税ですが、建物の固定資産税評価額を用いて計算されます。

 

印紙税

不動産売買契約書の作成時には印紙税が必要です。契約金額に応じて税額が決められており、たとえば5,000万円の売買契約では2万円の印紙税が必要です。

【印紙税の税額】
契約金額 印紙税額 軽減税額※
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円

※平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書は軽減措置で税額が低くなります。詳しくは「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁」にてご確認ください。

 

法人の不動産売却の税金シミュレーション

法人の不動産売却の税金シミュレーション
具体例として、以下のケースで税金を計算してみましょう。

【前提条件】

物件種別: 土地
所有期間: 10年
譲渡価額: 3,000万円
取得費(簿価): 1,500万円
譲渡費用: 200万円
特例の適用なし
法人: 東京23区に本店を置く法人、資本金800万円、従業員数10人

 

法人税

課税所得:3,000万円 – (1,500万円 + 200万円) = 1,300万円
税率: 800万円以下の部分は15%,800万円超の部分は23.2%
800万円 × 15% = 120万円
(1,300万円 – 800万円) × 23.2% = 116万円

 

地方法人税

法人税額 × 10.3%
236万円(120万円 + 116万円) × 10.3% = 約24万円

 

法人事業税

具体的な計算は自治体の税率に応じて変動するため、ここでは1,300万円 × 6%と仮定します。

法人事業税:1,300万円 × 6% = 78万円

 

法人住民税

法人住民税は法人税割と均等割の2つから成り立つが、ここでは法人税割を都道府県の税額(7%)で計算する。

法人税割額:236万円 × 7.0% = 約17万円

※本来はここに均等割が加算される

 

総税額

上記のシミュレーションによると、総税額は以下の通りです。

法人税: 約236万円
地方法人税: 約24万円
法人事業税: 約78万円(自治体の税率に応じて変動)
法人住民税: 約17万円(本来はここに均等割が加算)


このシミュレーションでは、法人の不動産売却による総税額はおよそ360万円程度となります。

 

法人の不動産売却での節税方法

法人の不動産売却での節税方法
法人の不動産売却時の税金を節減するための方法は以下の通りです。

 

売却利益の投資

不動産売却で得た利益を新たな投資に活用することで、効果的な節税が可能です。例えば、売却益を使って事業用の不動産や設備を購入すると、減価償却制度を活用した税負担の軽減が期待できるでしょう。

具体的には、購入した建物や設備の価値は時間とともに減少していくという考え方に基づき、毎年一定額を経費として計上できます。これにより、課税対象となる所得を減らすことができ、法人税や法人事業税の負担を抑えることが可能です。

特に、建物や機械設備など減価償却費が大きい資産への投資は、長期にわたって安定した節税効果が期待できます。さらに、政府の経済対策として実施されている設備投資減税などの税制優遇措置を利用できる場合もあるでしょう。

 

所有期間の調整

不動産の所有期間を戦略的に検討することで、税負担を最適化できるケースがあります。一般的に、5年以上の長期所有によって重課制度の対象から外れ、税率を抑えることが可能です。

しかし、法人での不動産売却における税負担は、会社の規模や状況によって大きく異なる点に注意しなければなりません。たとえば、資本金1億円以下の普通法人の場合、所有期間が5年以下であっても、法人として売却した方が税負担が少なくなるケースがあります。これは、法人税率や各種控除の適用状況によって、総合的な税負担が個人での売却よりも有利になることがあるためです。

そのため、所有期間の判断に際しては、会社の資本金の規模や将来の事業計画など、複数の要素を総合的に考慮することを心掛けましょう。

 

法人の不動産売却での税金に関するご相談なら

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不動産売却に関する税務は複雑で、専門的な知識が必要です。特に法人の場合は、様々な税金が関係し、その計算方法も個人とは大きく異なります。

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