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沖田オフィスレポート Vol.138

いつも当レポートをご愛読頂き有難うございます。さて、今回は、親子間で建物の名義変更(負担付贈与)によって相続税の節税を講じた事例を御紹介します。

相談内容

私と父は不動産賃貸業を営んでおります。私は父の相続税対策をすすめていきたいと思いますが所有する土地に空き地はないため、第三者より土地付きで賃貸用物件の購入を進めていきたいと考え ています。しかしながら、父は現預金をあまり持っていないため、新規物件の購入時に必要な手付金の準備に期間を要すること、新たに「借金」を負うことへの抵抗感もあり難航しています。

対策内容

子が長期所有する借入金のある賃貸用建物を父へ負担付き贈与をしました。
贈与となる部分については、毎年500万円位を父から孫への債権贈与とします。なお、負担付贈与は税法上、贈与ではなく、子から親への時価での譲渡となります。

  (子が建築し所有している不動産)
ⅰ.鑑定評価額   :7,000万円
ⅱ.簿価      :6,000万円
ⅲ.借入金残高   :9,300万円 (借入残債及び利息:10,000万円)
ⅳ.借入金利息   :  700万円 (借入残債及び利息:10,000万円)
ⅴ.固定資産税評価額:3,000万円


効果

相続税 2,000万円の節税

コスト

下記①~③コスト合計 641万円
①父の流通税 150万円 
・登録免許税   60万円(3,000万円×2%)
・不動産取得税  90万円(3,000万円×3%)

②子の譲渡税(所得税及び住民税) 200万円
代物弁済により消滅(相当)する借入金及びその利息の合計金額が譲渡所得の収入金額となります。今回の場合は時価7,000万円の建物を引き渡す事により消滅(相当)すると考えら れる借入金及び利息7,000万円が譲渡所得の収入金額です。

→(譲渡収入7,000万円▲簿価6,000万円)×20%=200万円
※借入金残高9,300万円の債権を子から親へ承継させることにより、利息等の違約金の問題も発生しません

③孫の贈与税 291万円
子は7,000万円の建物で10,000万円の債務を引き受けてもらうので、差額3,000万円は相続税法8条により、本来は父から贈与を受けたものとみなされて贈与税が課せられてし まいます。その対策として差額相当は父から子への貸付とし、その貸付を複数年にわたって父から孫へ債権贈与を行います。

例)毎年500万円を債権贈与した場合
1年あたり贈与税48.5万 × 6年間 =291万円

以上の通り、もとより資産がある相続税率の高い方はコスト以上に効果を発揮します。
この対策により家族で見ると財産状況が変わらないので、賃貸状況や資金繰りなど安心感のある対策を講じることができました。
また、③での債権を取得する孫については、近年中に父の相続が発生した場合でも、現行法では孫が相続または遺贈で財産を取得しない限り、本件贈与分に対しては贈与財産の3年以内加算はありません。

〔補足ⅰ〕
  この場合の父側の建物の取得価額は時価である鑑定評価額7,000万円となるため、7,000万円から毎年の減価償却を計算していきます。

〔補足ⅱ〕
この物件の前提条件「ⅰ鑑定評価額」と「(ⅲ+ⅳ)借入残債及び利息」の金額が逆であった場合は下記の通りとなります。
・子の譲渡の収入金額
代物弁済により消滅(相当)する金額 = 7,000万円  = 会計上取得価額
※変わりありません。
 ・子から父への贈与 3,000万円
※贈与者と受贈者の関係が逆となります。
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